相続手続きの流れ
相続とは、故人(被相続人)の財産や権利を法定相続人が引き継ぐことをいいます。相続が発生すると多くの手続きを行うことになるので、いざとなったときに慌てることのないよう、こちらでは一般的な相続手続きの流れをご紹介します。
不動産や有価証券などを相続するには、被相続人名義から相続人名義に変更する手続きを行います。相続後すぐに売却する予定であっても必ず名義変更します。
預貯金の場合、各金融機関で申請を行ってから名義変更の完了まで1か月程度かかります。
(1)相続人の確定
相続手続きを始めるにあたり、最初に誰が相続人となるか確定するため、被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍をそろえます。
戸籍の収集は過去に戸籍を置いたすべての役所で取り寄せる必要があり、多くの方は結婚や引っ越しなどで一生のうちに転籍を行うため、早い段階から戸籍の収集に取りかかり、時間に余裕をもって手続きを行います。
収集した全戸籍をもとに相続関係説明図を作成します。戸籍謄本と作成した相続関係説明図は、その後の財産の名義変更手続きの際にも必要となりますので、大切に保管しておきましょう。
戸籍収集による相続人調査 相続関係説明図の作成(2)財産調査を行う
相続財産となる全財産について調査し、まとめた内容をもとに財産目録を作成します。財産目録は遺産分割協議において、相続人の遺産配分を決める参考にします。
相続財産に株式などの有価証券が含まれる場合は、相続開始時における評価を出す必要があります。預貯金などは数週間かかる場合もありますので、時間に余裕をもって進めるようにしましょう。
なお、相続財産には現金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や住宅ローンなどのマイナスの財産も含まれるため、財産調査は慎重に行います。
相続財産の調査について 財産目録の作成(3)相続方法の決定
財産調査の結果から、遺産の相続方法について相続人で話し合います。
マイナスの財産が多い場合は相続放棄を選択する可能性がありますが、この相続放棄の手続きは、相続発生日から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。
この期限を過ぎてしまうと、被相続人のすべての財産を受け継ぐ「単純承認」をしたものとみなされ、マイナスの財産も相続することになってしまいます。
(4)遺産の分割方法を決める(遺産分割協議)
(5)相続財産の名義変更
不動産や有価証券などを相続するには、被相続人名義から相続人名義に変更する手続きを行います。相続後すぐに売却する予定であっても必ず名義変更します。
預貯金の場合、各金融機関で申請を行ってから名義変更の完了まで、1か月程度かかります。
以上が基本的な相続手続きの流れとなりますが、相続手続きにおける各種書類の取り寄せには多くの時間を要します。
例えば、相続人の調査から財産の名義変更完了までは3か月程度かかってしまいます。この期間は各ご家庭のご状況により異なるので、相続が発生したらすぐに各種手続きに取りかかるようにしましょう。
なお、相続財産の総額(債務等を差し引いた課税価格)によっては、相続税の申告を行う必要があります。
相続税申告について