相続税における農地・生産緑地の評価
相続の発生に際し、農地・生産緑地を承継することもあるかと思います。
その際はどのように評価を行うべきなのか、ご一緒に確認していきましょう。
農地の評価について
宅地への転用が基本的に制限されている農地は、所有者が使用する土地としては自由度が低いものとなります。
また、評価方法については地域によっても異なります。
〔農地の種類および評価方法〕
- 純農地「倍率方式」
農地の評価額=固定資産税評価額×倍率 - 中間農地「倍率方式」
農地の評価額=固定資産税評価額×倍率 - 市街地農地「宅地比準方式もしくは倍率方式」
農地の評価額=農地が宅地であるとした場合の価額-宅地造成費※1 - 市街地周辺農地
農地の評価額=市街地農地×80÷100
貸し付けられている農地の評価について
貸し付けられている農地は通常、自用地として評価を行った場合と比べて評価額は低くなります。なぜなら耕作権や賃貸借等の設定がされていることで、土地の利用に制限が設けられているからです。
なお、耕作権とは農地を耕作する権利のことであり、農地の所有者に小作料を支払うことで権利を得ることができます。
耕作権
- 純農地・間農地の耕作権
農地の価額×耕作権割合(50%) - 市街地周辺農地・市街地農地の耕作権
農地の価額×耕作権割合※
※耕作権が設定されていない場合の農地の価額に対する、その農地に係る耕作権の価額の割合
- 耕作権の目的に該当する農地を貸し付けている側の評価
=(自用地の相続税評価額)-(1.2.の算出による価額) - 永小作権の目的に該当する農地の評価
=(農地の自用地としての価額)-(永小作権の価額) - 区分地上権の目的に該当する農地の評価
=(農地の自用地としての価額)-(区分地上権の価額)
生産緑地の評価について
生産緑地法によって定められた土地制度のひとつである「生産緑地」に該当するのは、市街化区域内に所在する土地や山林です。
これらの評価については以下の計算式を用いて行います。
- 買取りの申し出がされていた生産緑地、および買取りの申立てが可能な生産緑地の評価
=(対象の土地が生産緑地でないとして評価した価格)×95% - 課税時期に市町村への買取りの申立てが行えない生産緑地の評価
=(対象の土地が生産緑地でないとして評価した価格)×(1-控除割合)
山林の種類と評価方法
- 純山林
生産緑地の評価額=固定資産評価額×倍率 - 中間山林(市街地付近または別荘地帯にある山林)
生産緑地の評価額=固定資産評価額×倍率 - 市街地山林(宅地のうちに介在する山林)
生産緑地の評価額=宅地比準方式もしくは倍率方式
〔宅地比準方式〕 (対象の山林が宅地である場合の価額)-宅地造成費※1 |
〔倍率方式〕 固定資産税評価額×倍率 ※市街化区域内に所在する山林で、倍率が前もって規定されている場合に限る |
広大な市街地山林の評価方法
宅地および地積の要件を満たしている市街地山林の評価は、「地積規模の大きな宅地の評価」に基づいて行うことになります。
保安林の評価方法
森林法によって立木の伐採・土地の利用法が制限されている土地については、保安林の評価対象として扱います。
※1「宅地造成費」とは農地を宅地へと転用する際に要する費用(土盛費、整地費、伐採費、地盤改良費等)のことで、費用の基準は都道府県ごとに定められています。
堺なかもず相続相談センターでは税理士の独占業務は、パートナーの税理士が担当しております。当センターでは専門家と連携をしてワンストップでお客様のお手伝いをさせていただいております。